SSブログ

4・なぜ中国ならば拉致問題を解決することができるのか? 日本向け1部(4/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

4・なぜ中国ならば拉致問題を解決することができるのか?
 中国が本気で拉致問題の解決に乗り出すうえで、山田案が十分な動機となることは疑うべくもない。なぜなら、胡錦濤政権の得る実利があまりに巨大だからだ。3兆円のODAの無償化という単なる経済的な利益だけでなく、指導者個人のカリスマ性を高揚し、国内の権力基盤を磐石のものにできるという意味においても政治的な利益は計り知れない。指導者は誰でも歴史的な名声を欲するものであり、胡氏とて例外ではない。
 よって、山田案の提示を受けた中国は、必ず解決に向かって動き始める。だが、問題は中国が現実にその解決能力を有しているか否かということである。それがなければ山田案も単なる空理空論にすぎない。
 私の考えは、以下の理由で、中国が本気を出せば拉致された日本人たちを必ず北朝鮮から救出することができるというものである。
 第一に、「中国は北朝鮮の生殺与奪の権限を握っている」という現実である。
 中国は北朝鮮に対して莫大な燃料や食糧を援助し続けている。その額は毎年、約2千億円に達するという。また、中朝国境は今や北朝鮮にとって外貨を得るための貿易や生活必需物資の流通のための「生命線」となっている。
 要するに、現実に北朝鮮は中国に依存しなければ生きていくことができないのである。仮に中国が国境を封鎖すれば、北朝鮮はそれだけで経済破綻を起こし、金正日体制も崩壊してしまうだろう。これについては詳しく論じるまでもない。
 第二に、拉致問題がもはや金正日個人の面子の問題になっているという現実である。これに関しては、私個人のオリジナルな見方なので詳述したい。
 もともと彼にとって、日本人を拉致した事実を認め、謝罪しただけでも、その面子が潰れかねない問題性を孕んでいたに違いない。だが、「自らの体制維持のためには日本からの経済援助が欠かせない」と考えた金正日は、ぐっと我慢して、罪を認めた。
 だが、その結果、金正日の得たものは日本からのしっぺ返しだった。彼がどれだけ激怒したか、想像に難くない。彼には北朝鮮の「国王」としての国内向けの「顔」というものがあり、また、部下たちに対する首領としての「面子」がある。それを平然と潰されたので、彼は日本に対して今も深い恨みを抱いている。
 日本政府も日本人も、北朝鮮が金正日個人の意志で動く専制国家であるという事実を忘れがちである。その専制者の立場にたってみれば、「すべての日本人拉致被害者の存在を認め、彼らを日本に帰国させ、謝罪する」などという行為は、彼個人の面子に賭けても決してできないことが分かる。つまり、「日本に屈する」ことだけは死んでもできないのだ。だから、金正日は残る拉致被害者の存在を絶対に認めないし、絶対に謝罪しない。
 このように、「もはや引くに引けない」というのが、今の金正日の立場なのである。
 だが、その彼を説得できる人物がこの地球上にただ一人だけ存在している。それが中国の胡錦濤国家主席なのである。
 中国は北朝鮮から見て事実上の宗主国にあたる。戦後に建国された北朝鮮には「朝鮮戦争」という原体験がある。連合軍の反攻で鴨緑江にまで追い詰められた北朝鮮は、一度、地図上から消滅した。それを救ったのが「義勇軍」という名の精鋭部隊を送り込んだ中国である。この時以降、朝鮮戦争は「米中戦争」と化し、その中国の犠牲によって北朝鮮という国家は息を吹き返した。このような歴史的事実は朝鮮人の対中国心理を形成する上で決定的に重要な意味を持っている。あるいは仮に北朝鮮指導部が忘恩したとしても、中国側が決して忘れることはなく、宗主国としての自らの権利を放棄することはない。
 よって、中国の最高指導者が日朝の間に割って入り、手土産をもって金正日を説得する形ならば、彼としても部下の手前「顔が立つ」のだ。金正日は、「日本の頼みならば絶対にきくことはできないが、中国のたっての頼みとあらば断ることはできない」という風に、国内をうまく説得することができるだろう。くり返すが、北朝鮮という国は金正日個人の意志がすべてに優先する専制国家であり、一般国家の常識を当てはめてはならない。
 ゆえに、以上の第一・第二の条件を考慮すると、まさに胡錦濤国家主席こそが日本人拉致問題を解決できる唯一の「キーマン」であることは明白なのだ。
 おそらく、中国は「飴とムチ」の両方を使うだろう。北朝鮮に対して、「もし拉致した日本人の生存者をすべて北京に送れば、中国が莫大な経済援助をしようではないか」と提案する。一方で、「その頼みを断れば、食糧やエネルギーの支援を停止し、中朝国境も封鎖する可能性がある」と恫喝する。さらに必要とあらば、瀋陽軍区の第16集団軍、第39・40集団軍を中朝国境へ動かし、軍事侵攻の構えをアピールして強力に威嚇するだろう。
 以上の結果として、北朝鮮の金正日は、胡錦濤氏の「たっての頼み」を絶対に断ることができないのだ。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。