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3・山田案には道理と戦略的利益がある 日本向け1部(3/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

3・山田案には道理と戦略的利益がある
 この「ODAを戦争賠償に代える」という発想は、決してアクロバティックな思いつきではない。なぜなら、もともと外務省のODAは、名目上は中国の経済建設協力のためのソフトローン(低利融資)が大半であるが、実態としては中国に対する戦争賠償としての性格も帯びており、事実、中国側はそう受け取ってきたからである。よって、その内実にふさわしく、新たに日中条約を締結し、本当に戦争賠償としてそれを帳消しにすることは、むしろ「合理的」ですらあり、大いに「道理・筋」があると言えるのだ。
 重要なのはこの「道理・筋」があるという点である。ここがしっかりとしていれば歴史の審判にも耐えることができるし、また、拉致問題の解決を急ぐあまり捻り出した奇策であるとの印象批判も決然と跳ね返すことができるのだ。
 この策の優れた点は、それ以外にも様々な戦略的利益があるという点である。
 たとえば、中国がここ十数年にわたって仕掛けてきた歴史問題での対日謀略を打ち破ることもできる。先ごろ、米民主党のマイク・ホンダ議員が推進役となって米下院で従軍慰安婦問題に関する対日批判決議が採択された。安倍前総理は面子を潰され、わが国は大いに恥をかかされたが、議員たちの背後にいたのは「世界抗日戦争史実維護連合会」などの北米在住の中国系反日組織であると言われている。だが、北米をはじめ世界各地で活動している反日市民運動の策源地は北京なのである。おそらく共産党の党中央政治局員の中の誰かが主謀者ではないか。もしわが国が「山田案」を実行し、「21世紀の新日中条約」を締結すれば、その策源地を直撃する形になり、以降、民間中国系の有象無象による反日情報戦に振り回されることもなくなるだろう。案外、締結交渉時に「あの連中の反日活動を止めさせてくれ」と胡錦濤氏に要求すれば、あっさりと通るのではないか。
 また、この「山田案」は安全保障政策ともなりうる。なぜなら、中国の対日人民感情を大きく慰撫する効果が期待できるからだ。中長期的にみれば、これが一番の国益かもしれない。かつてわが国は「暴支膺懲」(暴虐な支那を討伐し、懲らしめる)の大衆世論を背景として大陸での戦争に突入した経緯があるが、今では中国の側に「暴日膺懲」とでも表すべき人民感情が形成されてしまった感がある。この民心こそが最大の危険要素である。
 周知のとおり、その原因は第二次天安門事件後に高まっていた人民の怒りや不満の矛先を日本に向けさせ、共産党に対する信頼と求心力を高める手段として、江沢民が公教育とマスメディアを動員して積極的に推進した「日本悪魔化」政策にある。党中央の対日姿勢転換を敏感に嗅ぎ取った知識層も大挙してそれに加担したこともあり、対日偏見が異常なほど拡大生産された。結果として中国人は、「過去の戦争をまったく反省していない日本人は未だに軍国主義的な野望を捨て切れず、祖国統一を妨害して中国を封じ込めようとしている」といった憎悪と偏見を妄信するようになった。
 05年3月、日本の国連安保理常任理事国入りに反対するデモが中国各都市で燎原の火のごとく広まり、日本の大使館や領事館、商店などが襲撃を受けたことは記憶に新しい。胡錦濤政権に面当てするために上海閥がデモを使嗾したとも噂されているが、いずれにせよ、当局によって操作されていたとはいえ大衆感情抜きには説明できない現象でもあった。デモの主力である「憤青」たちが反対の根拠とした中には、「日本は戦争被害国への謝罪と賠償を拒否している」「日本は歴史教科書を改ざんし、侵略の歴史を教えていない」といった、事実に基づかない典型的ともいえる対日偏見や先入観があり、彼らがいかに政治的な洗脳を受けてきたかが分かる。この種の“愛国”人民は今や至るところで対日マスヒステリーを暴発させている。スポーツの国際大会では、遠征してきた日本選手に対して罵倒し、物を投げつけ、日本国歌にブーイングする等の異常な反日行動が日常風景になっている。今ではこれが中国人の対日感情の典型なのである。
 恐るべきは「中華ナチズム世代」の台頭だ。彼らは「遅れてきたナチ」そのもので、「中華民族の利益を実現するためなら他の民族をいくら犠牲にしても正当化される」と本当に悪びれることもなく信じきっている。文化大革命の時に暴れまわった無知で凶暴な青少年とそっくりであるが、問題はその矛先が日米に向いていることである。彼らは悪しき教育により、「われわれ中国人は西洋と日本から酷いに合わされた、しかも相手は謝罪も反省もしてない、だからやり返す権利がある」と信じ込まされ、復讐心を植えつけられている。しかも、一般の市民や社会全体が彼らに好意的だ。比較的冷静な知識層でさえ、「日米は中国の生存競争における邪魔者であり、いつか排除しなければならない」と考える者が増加している。こういったことはすべて戦争の一種の兆候である。将来、何かのきっかけで、この潜在意識下の殺意とも評せる攻撃的なナショナリズムが爆発する可能性がある。
 困ったことに、今や独裁政権のはずの共産党が民衆から「親日」を理由にして攻撃されるケースも目立ち始め、この「集団の空気」に容易に逆らえなくなっている。人民の敵である日本を擁護することは売国・漢奸に当たるというわけだ。皮肉なことに、かつて共産党が民衆の間に炊きつけた反日憎悪という怪物が当事者にもコントロール不能になり、その民心に対する迎合と妥協を余儀なくされる状況に陥っているのだ。
 だが、もし日本が中国に対して戦争賠償を実行すればどうなるだろうか。これは何よりも中国人民に対する直接アピールとなるだろう。彼らが対日攻撃の正当性として挙げているのは「中国を侵略しながら日本が謝罪も反省もしていないこと」であるから、その根拠を消滅させることができる。このような対日戦意を削ぐ効果は「戦う前に勝つ」ことを意味し、心理戦での勝利に値する。胡錦濤政権としても日本からそれを勝ち取ったことを自らの功績として大々的に喧伝するであろう。これは同時に、「日本は過去を清算した」という大規模な広報ともなり、人民の「暴日膺懲」感情を大きく慰撫する効果がある。共産党としても、こうして「親日」が政敵からも人民からも足を引っ張られる材料でなくなれば、以降、正々堂々「親日」政策を掲げることもできるだろう。
 わが国は山田案を実行するにあたり、以上のことを条件として中国側に提示することも可能なはずだ。そしてODAの債権放棄を「毎年5千億円ずつ進め、中国側が約束を遵守しない場合は停止することもできる」と定めれば、胡錦濤政権の第二期に「親日」の縛りをかけることも決して不可能ではない。
 このように、「国家百年の計」や安全保障の観点から戦略を俯瞰するなら、果たして山田案を一概に荒唐無稽として排除することが適切だろうか。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

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共謀罪(テロ等準備罪) 対象の277の罪

共謀罪(テロ等準備罪) 対象の277の罪
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by 共謀罪(テロ等準備罪) 対象の277の罪 (2017-06-20 05:12) 

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