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5・中国側と「悪魔の取引」を交わすことも一つの有効な手立てだ 日本向け1部(5/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

5・中国側と「悪魔の取引」を交わすことも一つの有効な手立てだ
 むろん、未来に関しては何事も「ネバー・セイ・ネバー」であるから、中国が「飴とムチ」を使い分けて日本人の返還を強く要求したところで、北朝鮮が頑固に拒み通してみせる可能性もある。体制維持のための核ミサイルが「外国の脅威」であるアメリカに向くならば、同じ理由で中国に向いたところで不思議ではない。
 だが、その場合、中国は金正日政権を切り捨てる決意を固めるだろう。つまり、クーデターの使嗾である。上記を「通常策」とするなら、これは「非常策」である。
 中国にはこのような作戦を立て、実行する能力がある。中国の諜報機関は北朝鮮に深く浸透していると言われ、これまでも金正日が幾度が潰しに動いたという。おそらく、中国の後ろ盾があれば安心して政権打倒に動くことができると考える将軍は何人もいるはずだ。結果、金正日は殺害され、傀儡である親中政権にとって代わられる。これにより、日本側の拉致被害者救出真相調査団も堂々、現地入りできるだろう。
 何よりも重要なことは、第一にこのクーデターが成功する理由があること、第二にこのクーデター使嗾案を承諾するに足る事情が今の中国にあるということだ。
 具体的には2部で後述するが、第一は金正日の老いと後継者問題に関係する。第二は、中国にとってのキューバ危機――裏庭の国から咽元にナイフを突きつけられた状態――の進行である。この事態が彼らに金正日政権の打倒を決意させる主因になるだろう。米朝急接近と裏腹なのが中朝関係の急激な悪化である。極東情勢は数年前の常識が通用しないほどガラリと変化した。このことは2部で取り上げる。
 よって、最初に通常策で臨み、それが失敗した場合、次策として「金正日政権の打倒」という非常策に切り替えればよい。
 日本側からもそのように念を押しておくべきである。つまり、中国側に対して以下のように提案するのだ。
「仮に『日本人拉致被害者とその家族の生存者全員を返還せよ』という貴国からの要求に対して北朝鮮が応じなかった場合、金正日政権をクーデターで打倒するのも一つの手です。結果として拉致問題が解決するのであれば手段は問いませんし、その見返りとしてわが国は新日中条約の締結という形でODA3兆円の債権を戦争賠償として放棄しましょう」
 まさに「悪魔の取引」である。本提案を極秘とすべき理由もまさにこのアイデアを含むからだ。北朝鮮の諜報網は日本の要所に深く浸透している。政界はもとより、内調・警察公安部・公安庁といった情報機関にも内通者がいるという証言がある。ゆえにこのアイデアは限られた関係者以外には漏らさないことが重要である。
 むろん、これは完全な謀略であるが、「戦争」である以上、タブーの烙印を押すべきではない。戦争は大将の首を取れば勝ちである。相手が独裁国家ならば、なおさらだ。どの道こんなアブノーマルな体制は長続きしない。よって一切の遠慮はいらない。
 最近、北朝鮮の崔守憲(チェ・スホン)外務次官が、国連総会での演説後に新華社通信などの取材メディアに対して、拉致事件を「架空の誘拐事件」などと称して日本を非難している(07年10月03日)。また、先の南北首脳会談で訪朝に同行した韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)延世大教授によると、金正日がノ・ムヒョン大統領に対して「日本人拉致被害者はもういない」などと発言したという(07年10月09日)。これは拉致問題に対して最後通牒を突きつけたと見なすこともできる。仏の顔も三度までと言われるが、わが国はこのようなゴロツキ国家に対して無制限の忍耐を発揮すべきではない。
 すでに日朝平壌宣言から5年がすぎ、あまりに解決に時間がかかりすぎている。ゆえに最近では、私もこのクーデター使嗾策に傾きつつある。これは「金正日政権が崩壊しない限り、拉致問題が根本から解決するはずがない」と考える悲観派にとっては有望な策と映るかもしれない。山田案で中国を焚きつけ、ここで一気に金正日体制を処断するのも検討に値するオプションである。北京オリンピックなどの中国の国内事情から、実行の時期は08年9月以降がよいだろう。
 仮に、クーデターも失敗し、以上のすべてがうまく運ばなくとも、結果としてわれわれは「中朝関係を極度に悪化させる」という成果を残すことができる。そういう意味において山田案は「三段構え」の策略である。おそらく、中国との対立が先鋭化すれば、北朝鮮は完全に宗主国を入れ替える決断をする。つまり、アメリカ軍を引き入れようとするだろう。これは何ら驚くべきことではなく、伝統的に朝鮮民族はこの種の芸当を何度もやってのけている。その結果、中朝関係はますます緊張し、中朝戦争も絵空事ではなくなる。
 こうして日米同盟側に完全に寝返る以上、北朝鮮は日本との関係改善にも必然的に意欲を燃やさざるをえなくなる。「昨日の常識は今日の非常識」が国際情勢である。
 いずれにせよ、中国が本腰を入れた時点で、拉致問題の解決は約束されたも同じであると私は考える。それが交渉による返還か、クーデターの使嗾による体制打倒かは、分からないが。われわれは中国側を信頼し、大船に乗った気でいればよい。そして仮にその試みが失敗に帰しても、わが国にとって決して悪い結果には転ばない。
 なにも、「日朝二国間の問題だから、日朝間で解決すべきだ」という固定観念に縛られる必要はないのだ。これは「戦争」である。戦争においては、できる限り同盟国を利用するものだ。そして「勝利」とは「戦争目的」を達成することである。今次「日朝戦争」におけるわが国の戦争目的とは、拉致された生存者とその家族の全員を救出することだ。
 むろん、手段は選ぶ必要がある。リスクの高い「軍事オプション」や「実質身代金支払い」といった方法は、国家として避けねばならない。要は選べる手段の範囲内で戦争目的が達成できれば、それでよいのである。問題は戦争指導者の胆力である。
 戦争とは刻々と変化する生きものであるから、最高司令官(総理大臣)に戦略的なインテリジェンスが求められる。優れた戦争指導ができるか否かは、指導者の資質にかかっており、それが無ければ第二次大戦時のように無残な敗北を喫するだけだ。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

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