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9・日中新時代をもたらす戦略的互恵外交・その2 日本向け1部(9/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

9・日中新時代をもたらす戦略的互恵外交・その2
 以上の第一・第二段階でも日中関係は大いに改善するが、この際、改善に向かって勢いのついた両国関係をさらに前進させ、それを固定化させるべく、さらなる「互恵外交キャッチボール」を続けるべきである。
 では、その後に続く「キャッチボール」について述べる。
 
・ 第三段階……中国が日本の国連安保理常任理事国入りを支持する。英米仏はすでにOKしているので、残るはロシアの説得だけということになる。今ではロシアも前向きである。おそらく日本は同メンバー入りを確実にする。これにより、中国との過去の清算問題を終わらせたことと相まって、日本は本当の意味で「戦後」を終わらせることに成功する。
・ 第四段階……日本は上記への感謝・返礼として、中国の環境問題改善のために国家の総力をあげて協力することを表明し、かつ実行する。その資金として、日中両国は先に破棄された日本のODA債権も積極的に活用する。これにより中国はもはや日本に対して返済する必要のなくなった「浮いた資金」を環境対策に投じることで自国の環境改善を加速化することができ、日本もまたこの協力を通して京都議定書の温室効果ガス削減目標値に近づくことができる。
 
 上記について解説する。
 中国が日本を国連安保理の常任理事国に迎え入れることは、実は中国にとっても大いにメリットがある。わが国はこの点を彼らに強調すべきだ。
 第一に、アジアのライバル国をパーマネント・メンバーに引き入れた決断により、中国は世界から「寛大かつ度量のある大国」と見なされ、国家の威信を高めることができる。それはまた日本に恩を売ったと同時に、常任理事国内に味方をひとり作り、将来の孤立を防いだ結果にもなるだろう。これが第二のメリットである。
 周知のとおり、現在、西洋世界では急速に「中国異質論」が台頭し始めている。欧米での中国非難の代表的なものとしては、「天然資源欲しさにアフリカの非人道的な独裁政権を支えている」、「危険な食品を輸出するモラルのない国だ」、「知的所有権を侵害しつづけ、われわれに損害を与えている」…といったものが例として挙げられる。中国に対するネガティヴなイメージがマスメディアによって急激に拡大生産され始めた。とくにアメリカでは議会で対中非難決議が幾度となく繰り返され、有力議員による激しい中国非難が相次いでいる。中国が毎年二桁の水準で軍事力を増強し、石油欲しさに反米国家と連携していることも、アメリカの対中不信感を増大させている。
 ロシアは今のところ「親中」であるが、プーチン政権以後はその保障はない。なぜなら、ロシアでは一般国民レベルで中国に対する敵意と警戒心が徐々に高まりつつあるからだ。上海協力機構も「同床異夢」といわれている。中国政府は「ロシア人民は親中である」と思い込みたいらしく、その種のアンケート調査を公表しているが、これは明らかに政治的に作られた虚偽だ。ロシア国民の右傾化と対中警戒心の高まりを考えるなら、ロシアもまた何かのきっかけで「反中」に転じる可能性が十分にあると言わざるをえない。
 このように、現実に「中国異質論」が世界的に高まりつつあり、将来、中国が国際的に「四面楚歌」に追い込まれることを防止する意味でも、日本の同常任理事国入りを後押して味方として引き入れておいたほうが、中国としてもメリットが高いはずだ。
 ただし、胡錦濤政権がこのような「親日行為」を実行するためには、国内の政敵の力が削がれている必要があり、そういう意味でも前段階として「新日中条約」の締結による胡錦濤氏のカリスマ性の向上は不可欠であると考えられる。
 むろん、中国が日本の国連安保理常任理事国入りを後押しすること自体が「交換条件」である。この「第三のボール」の返礼として、今度は日本が「中国の環境改善に協力する」という「第四のボール」を投げ返すのだ。
 周知のとおり、中国の環境問題は深刻である。河川の枯渇や水源・土壌の汚染、産業界におけるエネルギーの無駄遣いや森林の減少と国土の土漠化といった問題は、4千年の歴史を終わらせかねない危険性を孕んでいる。この対策のためには、数十年前に公害問題や石油危機を克服した日本の経験と技術が不可欠だ。中国の環境改善には巨額の投資が必要であり、環境省はこの分野の将来の市場規模を12兆円と試算している。それを見込んで日中両政府の思惑も一致し、協力体制がすでに始動している。
 中国は現在、毎年、日本へのODA返済として1千億円以上を充てているが、仮にその借金が「新日中条約」により帳消しになれば、浮いた資金を丸々環境対策に投じることも可能となる。これを環境省・経済産業省が進める対中環境ODAと併用すれば、中国としても環境改善スピードを“倍化”させることが可能となる。むろん、その対策を日本企業が受注する仕組みを作れば、日本もまた京都議定書が定める温室効果ガスの削減目標の達成にいっそう近づくことができるし、その過程で中国はさらに日本企業の先端環境技術を吸収することもできよう。
 京都議定書の議長国であり、数値目標導入の提唱国である日本は、1990年度基準で6%の温暖化ガス排出削減を国際社会に公約している。しかし、現状は「プラス8%」という危機的状況である。この目標を日本は2008年から12年の間に実現しなければならない。そのためには「京都メカニズム」と呼ばれる、他国の排出権購入と削減協力によりその削減量を自国のものとしてカウントする方法に頼るしか道はない。そのために日本は中国の環境問題改善に尽力するしかないが、これでは中国が一方的に利益を得ることになり、あまりにアンフェアである。しかし、日本の国連安保理常任理事国入りを中国が後押しすることが「交換条件」となれば、「中国は他人のフンドシで相撲を取っている」という不公平感もある程度は解消され、日本の世論も納得することができるだろう。
 いずれにせよ、これにより中国は自国の環境問題をさらに改善し、また日本は炭酸ガス削減目標の達成により近づくという、一石二鳥の結果となるのだ。
 このようにして日中が互いに「互恵外交」のキャッチボールを行い、日中双方がともに利益を得てこそ、本当の意味での「戦略的互恵関係」と呼べるのではないだろうか。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)


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