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8・日中新時代をもたらす戦略的互恵外交・その1 日本向け1部(8/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

8・日中新時代をもたらす戦略的互恵外交・その1
 機は熟した。中国は対日接近を本格化させている。今こそ日本政府が「山田案」を果断に実行に移し、大きな国益を勝ち取るべき時期ではないだろうか。
 07年4月、日中は「戦略的互恵関係」の構築で合意したが(*注)、私はこの国策方針に合致する形で「山田案」を両国が真に利益をえる「戦略的互恵外交案」へと発展させることにした。狙いは、政財界・有識者クラスのハイレベルな関係強化よりも、第一に互いの人民感情を劇的に好転させることである。実際、これが実施されれば、相互に相手国の人民に対する強烈なアピールとなり、日本人と中国人民は共に熱狂するだろう。
 
・ 第一段階……まず初めに中国が日本に対して「良いボール」を投げる。それは中国が北朝鮮に囚われている日本人拉致被害者とその家族全員を救い出すことである(*前述のように、この部分は「通常策」と、それが失敗に終わった場合の代案である「非常策」に別れる)。できれば胡錦濤国家主席が彼ら生存者を引き連れて、特別機で来日する。これにより胡錦濤氏は一躍、日本国民の英雄と化すだろう。日本人は皆、彼を「恩人」と称えることになる。
・ 第二段階……次は、前回の返礼の意味をこめ、日本が中国に対して「良いボール」を投げる。日本の総理が北京を訪れ、過去の日中共同声明等を発展解消した「新日中条約」を締結する。この21世紀の条約には新しい条項が追加されている。それが「日本はODA3兆円の債権放棄をもって中国および中国人民に対して過去の戦争賠償を実施するものとする」という項目である。これは何よりも中国人民に対する直接的なアピールとなるだろう。そして日中両国の間に長年、楔として横たわっていた「歴史問題」はついに解決する。
 
 ここで上記について解説する。
 このように、日本が中国の手を借りて「北朝鮮による日本人拉致問題」を解決することと、「ODA3兆円の債権放棄」という形で中国が日本から「戦争賠償」を獲得することは、交換条件になっている。どちらか一方だけが利益を得るのではなく、まるでキャッチボールのように両国が「互いに相手のためになる外交」を行うことが成功の要である。
 むろん、中国によって第一段階が実行されない限り、日本が第二段階を実行する必要がないことは言うまでもない。また、中国に提案する際に、たとえば「08年末までに実行すること」という具合に期限を設けたほうがいいだろう。
 そもそも、日本が上記のような外交を実行するためには、先んず国民の理解が得られなければならない。でなければ、世論が選挙で審判を下す。要は、政府が中国に対して賠償を実行することを民意が許さなくてはならない。それゆえ、まず初めに胡錦濤国家主席が日本国内で恩人視・英雄視される出来事が必要であり、それこそが胡主席の尽力による日本人拉致問題の解決なのである。そうすれば、親中で熱狂した日本の世論は、中国のためにODAの債権を放棄することに賛成し、政治家もまた安心して次の選挙に備えることができるだろう。なにしろ日本人は「空気」に従う民族である。
 ちなみに、07年から来年にかけての日中の外交日程では、まず先の温家宝首相の訪日の返礼として日本の福田総理が訪中し、そして胡錦濤国家主席が来年4月あたりに訪日することが一応、予定されている。
 また、この第一段階の際、日中友好の「空気」また「ムード」を両国で盛り上げるために、私は以下のような政治的演出の実行を提唱したい。
 それは来日した胡錦濤国家主席に皇居で天皇皇后両陛下と並んでもらい、日本人が万歳三唱する熱烈歓迎を受けていただく、というものである。そして、その映像を日中両国全土さらには全世界に向かって放映するのだ。この演出により、日中関係が根幹から変化した事実を世界に印象付けることができる。
 むろん、胡主席は日本国内で英雄と化すだけでなく、中国内とその他の世界においても名声を獲得することができるだろう。中国は人権問題で国際社会からいつも叩かれているので、胡主席が純粋に人道上の問題を解決してみせることは格好の汚名挽回の材料となるに違いない。そして第二段階の「新日中条約」調印により、胡主席の権威・カリスマはさらに高まることになる。毛沢東・周恩来は、台湾と争っていた国家正統性の問題に拘泥したこともあり、72年の日中共同声明において日本に対する賠償請求を放棄するという判断を下した。この最初のボタンの掛け違いにより日中両国の歯車は常にかみ合わなくなったが、重要なことは今日この決断が中国人民から「歴史的なミス」との烙印を押されているという事実である。よって、もし胡主席がこれを正せば、その権威と名声は毛・周両氏に並ぶ歴史的なものとなる。かくして、政権第二期がスタートする直前に、胡錦濤政権は国内での統治権威の高揚と完全なる権力基盤の確立に成功することができるのだ。
 いずれにせよ、以上の「戦略的互恵外交」を実行すれば、日本側は拉致問題を解決することができ、また中国側は戦争賠償の獲得という政治的・経済的利益を得ることができる。日中双方がともに利益を得ることができるのだ。

*……07年4月の温首相来日の際、日中首脳会談が行われ、両国は以下の共通認識に達したとの日中共同プレス発表が行われた(以下「戦略的互恵関係の基本的な内容」)。
 1)平和的発展を相互に支持し、政治面の相互信頼を増進。各々の政策の透明性に努力。
 2)エネルギー、環境、金融、情報通信技術、知的財産権保護等互恵協力を深化させる。
 3)防衛分野の対話及び交流を強化し、共に地域の安定に向け力を尽くす。
 4)相互理解及び友好的感情を増進。青少年、メディア等の交流、文化交流を強化する。
 5)朝鮮半島、国連改革、東アジア地域協力等、地域及び地球規模の課題に共に対応。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

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