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12・奴隷の物言いをしている交渉――日朝平壌宣言の過ち 日本向け2部(12/20) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

12・奴隷の物言いをしている交渉――日朝平壌宣言の過ち
 以上のように考えると、02年に締結された「日朝平壌宣言」は極めて異様な代物と言わざるをえないではないか。
 相手は麻薬・偽札の製造と密輸を行うテロ国家であり、戦争と飢餓を引き起こした独裁者とその一族であり、そして何よりも日本人の市民を拉致した犯罪者である。
 わざわざ被害者の側からそのゴロツキの加害者のところへ出向いて行って、「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注する」と約束し、要約すると「日本はお詫びしましょう、過去の清算として経済協力をしましょう」と謳いあげたのである。
 具体的には、「過去の植民地支配によって朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実」なるものを謙虚に受け止め、「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」なるものを表明し、おまけに「無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力」と「民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等」を約束してみせたのだ。
 これは悪事を行い続けている独裁政権に対して被害者の側が褒美を与えるという、とんでもない文面であり、外交交渉以前の問題ではないだろうか。
 はっきり言えば奴隷の物言いであり、怪文書の類いである。だが、日本政府は今もって「この宣言に従って」行動している。あくまでこの宣言の枠内で拉致問題も解決しようとしている。ゆえに「誘拐したわれわれの同胞を返してくれれば、国交正常化して莫大な援助をしようではないか」という類いの日朝交渉をしている。
 これが、仮に「相手を騙すための方便」であるならば、つまり空手形としてやっているならば、それはそれで拉致された人々を取り戻すための一つの戦術であると見なせないでもないが、どうやら本気で言っているらしいのだから神経を疑う。これはすでにテロに屈しているも同然である。こういうのを人間社会の常識では「奴隷」という。ちなみにこの枠組みを考案した田中均氏は「日朝合同の調査委員会を作って拉致被害者を調査すべき」と主張している。こういう提案を加害側にする被害者というのは、もう病人である。
 たしかに日朝平壌宣言では、終戦日以前の出来事に関しては両国およびその国民の請求権の相互放棄を謳っており、そういう意味でサンフランシスコ平和条約に則っており、過去に対する責任と賠償それ自体をうまく回避している。
 だが、「多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実」を認め、「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」を表明しているため、日本国が朝鮮に対する罪人であることを国家として公式に認めてしまっているのだ。
 よって、前後の文脈からすると、「日本は悪いことをした罪人ですが、賠償金は支払いたくないので、経済協力で勘弁してくださいね」という趣意になってしまう。
 このように体裁は二国間協力的な経済援助であるが、文脈上は実質賠償になっている。
 実際、宣言文から受ける日本の印象は極めて悪い。「日本は自らの過去の罪を自覚しているにもかかわらず、北朝鮮が貧しいことにつけ込み、経済援助の申し出と引き換えに過去の植民地支配の犯罪については請求しないよう、被害者をうまく誘導している」と映る。
 明らかにずる賢く、卑怯で、かつ卑屈な印象だ。国家人格を貶める内容である。
 いや、問題は、事実、南北朝鮮人がこのように受け止め、「日本が公式に責任を認めた」と主張することである。彼らの民族的性格とこれまでの前例からすると、このことを根拠として、わが国に対して永遠に強請り・タカリを行い、あまつさえそれが成功しなくても道徳的に優越な立場に立ち続けてやろうという邪心を抱くことは必至である。
 このような宣言書を日本国家の公式文章として残すことは重大な禍根を残すだろう。しかも、自国民を拉致した犯罪テロ国家のところにわざわざこちらから出向いていって「宣言」したのである。対等に接する価値のない卑劣な敵に対して、日本国にへりくだった物言いをさせた当時の政治家と外務官僚の罪は重いと言わざるをえない。
 奴隷の物言いといえば、二言目には日本サイドから飛び出す「不幸な過去の清算」という言葉もそうである。くり返すが、元はといえばこの種の罪悪感も、朝鮮民族が官民グルで行ってきた「被害者自称詐欺」にまんまと騙された結果としてわれわれの間に芽生えた虚構の認識に他ならず、歴史の真実にはまったくそぐわないものである。
 しかも問題は、われわれがそのような言葉を口にするたびに、相手の反論に正当性を与えてしまっている、つまり返す刀を与えてしまっているという点である。
 北朝鮮は、日本側の拉致問題の提起に対して、「わが民族に対して過酷な植民地支配を行った日本がその過去の罪も顧みずに何を言うか」と一貫して反論してきたし、とくに国際社会に対してそれが有効打になると信じていることはそれまでの言動・行動からも明らかである。よって、われわれが「不幸な過去の清算」と口にすることは、その相手の主張にわざわざ論拠をくれてやる行為であり、まさに北朝鮮の思う壺ではないだろうか。
 参院選敗退後、安倍前総理は「日朝の不幸な過去を清算をし、国交正常化を図る」と口にしたが、その直後、宋日昊大使は「初めて言及した」として“評価”した。しかし換言するなら、それはわが国が相手の思惑に沿ったから“評価”されているだけの話である。
 このような交渉をわれわれは一種の駆け引きと思い込んでおり、事実、表面的には駆け引きに違いない。だが、「日朝平壌宣言」は最初からわが国に不当な犠牲を強いる内容であり、道理も筋もないものである。よってこの宣言の枠内にこだわって日朝交渉を続けている限り、わが国の国益に反する構造自体は変わらないし、最終的に悪の加害者を丸儲けさせることには変わりないのである。このように日朝交渉は最初からボタンを掛け違えており、わが国は今もその誤りを一貫して踏襲し続けているというのが私の見方である。
 正直な話、私としては、北朝鮮がミサイル発射のモラトリアムに違反したことに感謝したいくらいである。これでわれわれは相手の違反を理由に「日朝平壌宣言」を堂々と破り捨てることができるからである。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

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