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2・山田案は「国家百年の計」からスピンオフした解決策である 日本向け1部(2/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

2・山田案は「国家百年の計」からスピンオフした解決策である
 この策が他のすべての解決案と根本的に異なっているのは、まず初めに「国家百年の計」があって、そこから拉致問題の解決に特化する形でスピンオフした策だという点である。つまり、高いレベルの国家戦略の方向性に沿っているということである。
 後述するが、根底には近未来の予測がある。それを踏まえると、日本の将来は「中国をいかにハンドルするか」にかかっていることが分かるはずだ。
 日中が争い続ければ共に衰退する未来が待つだけだが、幸い国内外の事情から昨年より胡錦濤政権が急速に対日接近を始めた。だが、派閥対立の構図が胡政権二期目の新陣容にも受け継がれており、何かのきっかけで、またしても指桑罵槐の手段としての反日が使嗾される可能性は捨てきれない。それが権力闘争の戦術として通用するのも、元はと言えば焚きつけ可能な反日感情が民衆レベルで内在しているからである。
 そういう意味で、一番の問題は双方の市民感情であり、とりわけ中国人民の対日感情である。彼らの「愛国的反日民意」は、元は政治的に作られたものであるが、今では共産党自身にもその怪物がコントロール不能になりはじめ、民心に迎合しなければ政権の基盤を揺るがしかねない水域にまできている。中国のバブル経済が崩壊すれば、このような民意を背景として中国がどこへ向かうか分からないし、近未来に日中が軍事衝突するというシナリオも決して絵空事ではない。よって、私は現段階で中国人民の対日復讐心の原因を究明して取り除くことが日本の安保上の国益にかなうと考えており、同時にそれが来るべき世界多極化時代に向けた備えにもなると思っている。
 われわれはどこで何を間違えたのだろうか。私の考えは、ひとつには「日中は72年の日中共同声明で最初のボタンの掛け違えをしてしまった」というものである。つまり、戦後の日中関係はその出発点から間違ったのである。具体的には、第5項の「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」という、例の賠償請求放棄条項である。
 現在、日本の最高裁はこの第5項をもって「中国は民間人の請求権も放棄した」と判断し、中国が是とする民間人の戦争被害者による賠償請求訴訟まで棄却している。中国人民としてはとうてい納得のいくものではないだろう。ただし、詳しくは2部で述べるが、この判決は法理的には正しいのである。だからこそ余計に厄介なのだ。
 そこで私の考えは、いっそうのこと過去の日中共同声明を「時代に合わなくなった」として「発展解消」し、「21世紀の新日中条約」を創案して両国の間で締結してはどうか、というものである。むろん、新条約の主な改善点は、過ちの根源である問題の第5項を無くし、「日本はODA3兆円の債権放棄をもって中国および中国人民に対して過去の戦争賠償を実施するものとする」という趣旨の新たな条項を追加することである。そしてこの新日中条約の締結が、中国の介入による拉致問題の解決と交換条件なのである。
 このような試みを常識外れであるとか、冒険的すぎると忌避する人もいるかもしれない。だが、個人補償を明記した新条約を締結してこそ中国人民も真に納得することができ、また日本人も自身を道徳的に救うことができるのである。むろん、国際社会からも「日本が道徳的勇気を発揮した」として賞賛されることは間違いない。そしてそのような国際社会における道徳的立場の強化という成果が、続く国連安保理の常任理事国に加入する際にも日本に有利に働くことは言うまでもないだろう。
 以上を実現するにあたり、一番の障壁はわれわれ自身の固定観念であり、性格的な欠点ではないか。日本人は過去の概念や約束事に縛られるあまり、手段そのものを目的化してしまう傾向がある。だが、そもそも日中二国間の条約は、「日中友好」という目的を達成するための手段でしかない。よって、それが目的をうまく果たせないならば、変えてしまえばいいのである。われわれは、本来の目的を達成する手段として考え出されたに過ぎない型を壊すことを極度に恐れ、時代ごとに変化する現実に対する柔軟性を失いがちだ。しかし、そもそも国家間の条約が不変であったことは一度もないし、不変でなければならない必要もない。一方の国が二国間条約を一方的に破棄すれば国際法違反であるが、双方が合意して「終了」させる分には、日英同盟の例のごとく何ら問題ではないはずだ。
 私個人は、以上を「国家百年の計」の観点から日本国は実行すべきであると、常々考えてきた。そしてこれを取引材料とすることで、中国に対して拉致問題の解決を交換条件として持ちかけることができると考えた。このようにハイレベルの国家戦略から派生した解決策であるという点が、山田案が他のそれとは根本的に異なっている点である。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

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