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7・ドアから顔をのぞかせた中国に対して見返りをケチるな 日本向け1部(7/10) [北朝鮮による日本人拉致問題の解決策]

7・ドアから顔をのぞかせた中国に対して見返りをケチるな
 中国には対日関係の改善に本格的に取り組まなければならない理由があった。その機会をうかがっていたところへ、タイミングよく安倍政権が誕生した。06年9月。奇しくも胡錦濤氏が上海市党委書記の陳良宇を解任し、権力闘争勝利のデモンストレーションを行った時期と重なる。日本国内でも、中国の内需を当て込んでいる経済界はこれ以上、日中関係を悪化させたくなかった。安倍前総理には関係改善の期待が高まった。こうして両国関係はこの時期に底を打ち、以後、現在に至るまで急速に改善に向かっている。
 安倍前総理は卓越した外交センスの持ち主だったようだ。政権誕生後、真っ先に行った訪中のタイミングは絶妙だった。政争を勝ち抜いた胡錦濤閥に対する祝賀のメッセージを含んでいたのだろうか。また中国側としても、党の中央委員会総会初日に日本の総理を迎えたことは、日中関係重視の姿勢を内外に深く心象付けた形となった。1年という短い在任期間ではあったが、安倍氏は中国との間に「戦略的互恵関係」を構築することで合意するという道筋を残した。また、相手の計算づくの「日中友好」に応じつつも、一方で共産党独裁体制に対するけん制である「価値観外交」を掲げた。オーストラリアやインドとの関係強化も、「これは中国封じ込めではないか」と中国人を恐れさせるほどの外交的効果を発揮した。硬軟の二刀流を使い分ける安倍氏の外交手腕に、中国側も「侮りがたし」との印象を抱いたに違いない。
 ちなみに余談だが、オウムのように日中友好を唱え、中国に対する批判を決して口にしない一部の日本の政治家を中国人は決して尊敬していない。内心で「利用価値のあるバカ」としか思っていない。河野洋平氏などはこの典型であると思われる。福田新総理がこのような侮りを受けるはずがないと、山田は信じている。
 さて、07年4月に温家宝首相が来日し、日中は戦略的互恵関係の構築で一致をみた。中国指導部は「戦略的互恵関係の構築を通じて、平和共存・代々友好・互恵協力・共同発展の目標を実現する」とうたっている。これを「16字の方針」と呼ぶそうだが、かつての胡耀邦元総書記の「四原則」の再来を思わせ、胡錦濤現総書記の並々ならぬ意気込みを感じさせる。おそらく中国側としては「親日派・胡耀邦氏の再来」を印象付け、「また当時のように日中蜜月時代を築きましょう」という意味を込めたのだろうが、ハイレベルはともかく、日本の一般市民は温氏に非常に冷ややかだった。
 だが、中国側の意欲をうかがわせるものとして、注目すべき変化が見られた。安倍前総理は「拉致問題の解決」と「国連安保理常任理事国入り」の2点に関して温家宝氏に協力を要請したが、中国側は以前とは打って変わって協力的な姿勢を見せたのだ。
 むろん、文字通り「見せた」だけであり、現段階では実行の伴わないリップサービスでしかない。だが、かつては前者に関して「日朝間の問題だ」と冷たく突き放し、後者に関しては人民を操ってまで対日非難轟々を展開した国である。今や中国は、明らかにドアから顔をのぞかせ、半身を乗り出しているのだ。
 この「踏ん切りがつかないで迷っている状態」の中国に対して、ここは思い切って彼らが必ず食らいつきたくなるような大きな“エサ”を投入すべきだと思うのは、私だけだろうか。この2点の実現によって福田新政権と与党が得られる巨大な政治的利益、また将来にわたって得られる戦略的国益に想像を馳せれば、判断に迷うべくもない。ここは小さな損失をケチるあまり、大きな利益を逃すべきではない。「ODAに代わる新たな資金メカニズムによる対中環境改善支援」程度では、エサとしてあまり小さすぎる。
 ここはやはり「山田案」をエサとすべきではないだろうか。
 すなわち、「日本はODA3兆円の債権放棄をもって中国および中国人民に対して過去の戦争賠償を実施する」という趣旨の「新日中条約」を締結しようではないか、と胡錦濤政権に持ちかけるのである。
 胡錦濤氏はこの巨大な見返りに狂喜し、必ずや日本の要望に応えるであろう。
 思えば、あの日朝首脳会談から5年あまりが過ぎたが、拉致問題は未だにこう着状態のままだ。国連安保理の常任理事国入りに至っては、日本は国際的恥さらしに等しいドタバタ劇を繰り広げてしまったといえる。
 この2点の失敗に共通していることは、実現に当たって中国の協力が得られなかったことである。中国の協力が不可欠であることを最近まで理解していなかった、と言ったほうが正確かもしれない。だが、私はこのことを03年1月の段階でいち早く指摘し、さらに04年7月にはより明確に指摘していた。

「日中関係を利用して日本人拉致問題を解決する方法」2007年10月作成・配布
【文書の構成】
・日本向け1部(1~10/10)
・日本向け2部(1~20/20)
・中国向け1部(1~10/10)
・中国向け2部(1~15/15)

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